人体の若さを生み出している骨
骨は若さをつかさどる門番
カチカチなカルシウムの塊だと思われる骨。しかし、その中にはいろいろな細胞たちが蠢いており、その細胞たちが若さを生み出していることが分かってきました。カルシウムを十分にとることは非常に大切ですが、それだけではだめだと言うこと、骨自身が自分の強さを決めるメッセージを出していることが最近の研究で分かってきています。骨が健康な状態である限り体の臓器の若さは保たれます。骨は若さをつかさどる門番なのです。
骨が発するメッセージが若さを作っている?
人体はネットワークです。骨も非常に大切なネットワークの一員で、骨のメッセージが他の臓器を若く保つ働きがあることが分かって来ました。
骨密度(骨量)が下がると骨の内部がスカスカになり骨折しやすくなることはよく知られていますが、実は骨量が下がることの恐ろしさは単に動けなくなることだけではありません。高齢者の場合、大腿骨の骨折により4-5人に1人が一年以内に死亡という驚きのデータがあります(The 1-Year Mortality of patients Treated in Hip Fracture Program )。
その原因の一つが骨の出すメッセージ物質の減少。骨量が下がると若さを生み出すメッセージ物質が出なくなり、全身の老化が急速に進んでしまう可能性があるのです。骨が果たす役割は単に体を支えるだけではなく全身に向けてさまざまなメッセージ物質を送る立派な臓器でもあるのです。骨が弱るとそれによって骨からのメッセージ物質が減り、さまざまな老化現象が進んでしまうのです。
骨からのメッセージ物質が脳へ届けられると記憶力や免疫力を高めるばかりか、私たちの体を病気から守ってくれることも分かってきました。逆に言えば骨からのメッセージが途絶えた時に、記憶力低下、免疫力低下、筋力低下、まるで命のスイッチを切るかのように老化現象が加速してしまいます。
骨が発するメッセージ物質とは?
記憶力・免疫力・精力をアップするオステオカルシン
「骨芽細胞」が出すメッセージ物質「オステオカルシン」。アメリカ・コロンビア大学教授ジュラール・カーセンティ博士は、このオステオカルシンは骨から脳に発するメッセージ物質であることを発見しました。
骨から出るオステオカルシンは、例えて言えば記憶力をアップしろとの指令メッセージ。そのメッセージが血管を通して脳の海馬へと運ばれてゆきます。海馬に到着、海馬にある神経細胞はオステオカルシンを受け取る特別な装置があり、神経細胞がオステオカルシンを受け取ると、脳が頑張って記憶しようと働きます。オステオカルシンが骨からでなくなると、脳の海馬の働きが低下するのです。最近新しいことが覚えられなくなる、それは骨が出すメッセージ物質が不足していることが考えられます。
オステオカルシンには筋肉のエネルギー効率を高める筋力アップの働き、テストステロンという男性ホルモンを増やす精力アップの働きもあります。オステオカルシンがないと精子の数が減る、という研究もあります。
免疫力アップするオステオポンチン
老化のメカニズムを研究しているハームット・ガイガー博士(ドイツ、ウルム大学教授)は、年老いたマウスにおいてオステオポンチン(メッセージ物質)という物質が少なくなっていることを発見しました。ラットの2つのグループで、片方だけオステオポンチンを与えました。すると5か月後、オステオポンチンを与えたマウスに大きな変化が現れました。それは体内のウイルスなどと戦ってくれる免疫細胞の量がオステオポンチンを与えていないマウスに比べ、2倍以上になっていました。
オステオポンチンのメッセージは、言わば「免疫力をアップしよう」。このメッセージが免疫細胞のもとになる細胞に届くと、生まれてくる免疫細胞の量が増え、体全体の免疫力を根本からアップすることが分かって来ました。
日本人の主な死因である肺炎や癌は、病の原因が免疫力の低下です。
骨量を減らさないスクレロスチン
骨は常に作り替えられていて、およそ3年から5年で全身の骨が入れ替わります。新しく強い骨を維持することで、疲労骨折などを防ぐためです。この作り替えを行っているのが、骨の中にいる細胞、骨を壊す「破骨細胞」と骨を作る「骨芽細胞」です。この二種類の細胞の作り替えのバランスが崩れて起きるのが「骨粗しょう症」です。
作り替えのバランスを取るために「破骨細胞」と「骨芽細胞」の働きをコントロールする、いわば建設現場の監督が「骨細胞」です。骨細胞は「骨を作ろう!」「骨を壊そう!」などのメッセージ物質によって作り替えの指示を出します。スクレロスチンは「骨を作るのをやめよう」というメッセージで、体内の骨の量をコントロールしています。
このスクレロスチンをコントロールできれば骨を健康にして若さを保つことが出来る。こんな期待が高まっています。
骨は若さを司る大切な臓器
単に体を支えるためだと考えられていた骨ですが、メッセージ物質によって全身の若さをコントルールするという骨のダイナミックな役割が次々と分かってきています。
高齢者で骨折をきっかけに認知症など老化現象が一気に進むことがあります。骨の大切さが近年注目を浴びています。
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